本庁でも保健所でも、積極的に新しい取り組みをしたりやり方を変えたりしているのが印象的です。
税金を使っているので無駄はできませんが、やったほうが良いのではと思ったことは、取りあえずやってみるのが自分のポリシーです。最初から100%成功すると分かっていることって、なかなかないじゃないですか。うまくいかなかったら反省して、試行錯誤を繰り返しながら良いものにしていけばいい。失敗を恐れていたら、何もできないと思います。
本庁と保健所のそれぞれの仕事のやりがい、面白さを教えてください。
本庁と保健所では対象にする人口規模が違うので、面白さが違いますね。本庁では住民の顔は見えませんが、HPVワクチンの啓発事業など、陰ながら工夫をして人々の健康行動に影響を与え良い方向への道筋を作るという、インパクトの大きい仕事ができるのが魅力です。これは、やはり本庁でしか味わえない面白さです。
一方、保健所では、地域と直接関わって住民の皆さんや医療機関、介護施設などと協力体制を作りながら、地域の健康課題に一緒に取り組める楽しさがありますし、取り組みに対する地域の皆さんの反応も分かります。小豆保健所にいたときは、住民の皆さんがCOVID-19対策でとても感謝してくださり、「保健所に足を向けて寝られない」とまで言ってくださった方もいたのが嬉しかったですね。
横山先生にとって公衆衛生医師の仕事の魅力は何ですか。
何と言っても対象がmassであることです。加えて、臨床の対象は医療機関に来る人だけですが、公衆衛生の仕事では受診前や退院後の人、いろいろな事情で来院しない人も相手にすることが決定的に違います。
臨床医が一生で診られる患者数は、公衆衛生医師が相手にする人数には絶対に及びません。その分、臨床医のほうが深く一人に関われる魅力はありますが、公衆衛生医師の仕事のほうがインパクトは大きいと感じます。世の中をより良くすることに自ら貢献できるチャンスの多い仕事なので、そうしたことに興味がある人ならば絶対に面白いと思います。今、公衆衛生医師は非常に少ないので、間違いなくすぐに活躍できるはずです。